(部屋に冷蔵庫があるって、いいよなあ……)


悠馬は栞の部屋に備え付けの冷蔵庫を開き、ミネラルウォーターのペットボトルを取り出した。

それを持ってソファーに深く腰掛け、改めて室内を見渡した。


悠馬にはよく分からないのだが、西洋のアンティーク調の家具に、人形やら何処かの土産物らしき物がかなりの数並んでいる。

そして、更に悠馬の目を引いたのは本棚だ。詩集やラノベ、純文学やらがびっしりと並んでいる。


(栞は読書家なんだなあ……)


悠馬も本は好きな方だが、彼が好んで読むのはミステリーや歴史物が殆どで、栞とは趣向が違うようだ。


それらの背表紙を眺めている内に、悠馬は次第に眠くなってしまった。緊張による疲れとアルコール、そして湯上がりであれば、それも無理はないだろう。


(おーい、寝るなよ、自分……)


睡魔と闘いつつも、悠馬が意識を半分ほど失い掛けた時、カチャッと音がし、ドアが開いた。