栞の家の風呂は、悠馬が予想した通り、いやそれ以上に広かった。悠馬の部屋より広いのではないだろうか。


栞の部屋と言い、この風呂場の広さと言い、改めて栞が令嬢である事を思い知らされる悠馬であった。


(俺なんかが栞の彼氏でいいんだろうか……)


つい、そんな弱気な気持ちになる悠馬だったが、


「一皮剥けば、同じ人間じゃねえか!」


そう言って自分に気合を入れ、風呂の湯を顔に掛けた。そして、


(“一皮剥けば”かあ……)


自分の後にここに入るであろう、全裸の栞を思い浮かべる悠馬であった。