「散らかってて恥ずかしいんですけど……」


と言われて悠馬が通された栞の部屋は、ちっとも散らかっていないし、広かった。悠馬の部屋の軽く2倍、いや3倍かもっと広いかもしれない。


「すげえ……」


白とピンクで統一され、レースがふんだんに使われたその部屋は、正に女の子、いや令嬢の部屋に相応しかった。

特に悠馬の目を引いたのは、部屋の真ん中にある巨大なベッドだ。いわゆる天蓋付きのベッドで、映画でしか見た事のない代物だった。


「あの、悠馬さん?」

「お、おお」

「お風呂はいかがですか?」

「ああ、風呂ね……。俺は後でいいから、栞が先に入れよ」

「それはダメです。悠馬さんが先じゃないと……」

「なんで?」

「だって……悠馬さんはお客様だから……」

「あ、そうか。わかった。じゃあ先に入らせてもらうな?」

「はい。では、ご案内します」


栞はホッとしていた。悠馬が先に入る事を承諾してくれた事に。栞の計画のためには、何としても悠馬が先でないと都合が悪かったのだ。