「栞、帰ろう?」


悠馬さんはそう言って私を立たせようとしたけど、私は無言でじっと動かなかった。


「栞……?」

「おい、杏里さんは来ないのか、って聞いてんだろ?」

「うるさい! そんなの知るか!」

「何だと? その言い草はねえだろうが。誰のせいでこうなったと思ってんだよ?」


サブって人に言われ、また悠馬さんはハッとした。やっぱり悠馬さんは、私を騙してたんだわ……


「諦めな。このお嬢さんに全部ばらしちまったぜ。あんたが杏里さんに頼んでこうなったって事と、それまでの経緯をな」

「お、俺は……こんな事を頼んだ覚えはない」

「なにー? じゃあ、杏里さんが勝手にやったってか?」

「そうだ」

「てめえ、いい加減な事を……」


「でも悠馬さんは、ずっと私を騙してたのよね?」