でも、とにかく今夜のところは無事という事になり、ホッとしたのだけど……


「でも兄貴、彼女が来たらどうします? この女が無事じゃ、彼女に怒られちゃいますよ?」


と左の男が言った。もう、余計な事を……


「それは構わねえよ。俺はな、もし彼女がのこのこ来たら、彼女をヤッちまうつもりだ。ここでな。今まで散々コケにされたが、こんなチャンスが来るとは思わなかったぜ」

「なるほど、さすが兄貴。抜け目ないっすね?」


うわあ、自業自得とは言え、その人可哀相……

でも、その“彼女”っていったい誰なんだろう。なぜ私をこの人達に乱暴するように頼んだのかしら……



何もする事がないから携帯でネットでも見ようかなと思ったら、サブって人に携帯を取り上げられてしまった。私が誰かにメールで助けを呼ぶといけないからだって。


「寝たらいいんじゃね?」

「こんな状況じゃ眠れません」


お蒲団もないし。

今頃は悠馬さん、きっと心配してるだろうなあ。もちろんパパやママも……


とその時、コンコンという音がした。それは間違いなく、倉庫の扉を誰かが外から叩く音だった。