「えっ? どうして、それを……」


知っているのかしら。この人達は……

あ、わかったかも。


「これは誘拐なんですね? いわゆる身代金誘拐」

「残念ながら違うんだよな、これが。でも、そういう事にすっかな。今から。身代金は、そうだなあ、1億円でどうだ?」

「い、1億円!?」


とんでもない話になってしまった。よりにもよって、1億円だなんて……


「サブ兄、それはやめましょうよ?」


それまで黙っていた、私の向かいに座っている男の人が口を開いた。


「なんでだよ?」

「身代金誘拐っていうのは、失敗する確率が高いらしいですよ。大抵は身代金の受け渡しの時に掴まっちまうそうです。それ以前に俺達はいろんな奴に顔を見られてますからね、絶対逃げられませんよ」

「おお、確かにそうだよな。やっぱり最初の予定通りに行くか? こいつを犯して写真を撮って、警察に通報したら写真をばら撒くぞ、って脅すという……」


えっ? そんな酷い“予定”だったの?


「じゃあ、俺から……」


左の男がまた私の肩に手を触れて来た。


「や、やめてください!」


もうダメかも、と諦めかけた時、どこからか賑やかな電子音が聞こえて来た。