「いくらくれるんだい、お嬢様?」

「え? 金額ですか?」

「あたりまえだろ? そこが肝心なんだからよ……」

「そうですか。ちょっと待ってください」


えっと、今日はいくら持ってたかしら……

私は手提げバッグからお財布を取り出し、中を覗いてみた。


「2万円でいかがでしょうか?」

「はあ?」


私が金額を言ったら、サブという人からはあからさまにイヤな顔をされ、


「兄貴、やっぱりやっちゃいましょうよ?」

「きゃっ」


左側の、小林さんに酷い事をした男に、肩を掴まれてしまった。


「まあ、待て。お嬢様よ、冗談も大概にしとけよな。2万ぽっちでどうしろって言うんだよ?」

「少ないですか?」

「あたりめえだろ!」

「だって、お財布にはそれしか……」

「屋敷の金庫にたんまり入ってんだろ? 銀行かもしんねえけど」

「そんな事はありません」

「嘘はよくねえな、お嬢様。あんた、あの吉田グループの令嬢なんだろ?」