「愛美、ちょっと言いすぎよ」
気まずい沈黙を破ったのは、万里紗の一言だった。
「そーかな?」
「そーだよ。まぁ、愛美が今まで無理してたの感じてたけどねぇ~」
「ならいいでしょ」
呆れ笑いをした万里紗は、やっぱり私のことをよく知っていると思った。
だてに、親友してる訳じゃないんだね。
「なぁ、愛美。昨日の夜、俺に抱きしめられながら、泣いていたことも忘れてるのか?」
「そんなことあったの?」
「・・・・」
無言になった龍くんを見て、もう話すことはない。
「行こう。万里紗」
「うん」
きっともう二度と二人と出会うことはないだろう。