「覚えてないの?愛美ちゃん」



寂しそうに問いかける輝くんに静かに答える。



「うん。二人には悪いけど、まったく覚えてないの。さっき二人に会って、それが私になかでは初めましてなの」



「そんな・・・」




「私は、お酒を飲むとテンションが高くなって、普通の私からじゃしない様なことも平気でする。
今まで、飲みの席でお持ち帰りされたのは、たくさんあった。
その度に、記憶がなくなって・・・。
いつも、朝起きたら、知らない部屋にいて、隣には知らない男が寝てる。
それが、今じゃ日常になってるの」




「じゃあ、オレと話してた時は、覚えてるフリをしてたってこと??」




「そーだよ。名演技だったでしょ?」



ニコリと微笑む私に、驚いた顔をする輝くん。


あぁ~あ。


傷つけちゃったかな?


でも、いっか。


本当のことだし。


もう、みんなの前で演技し続けるのも疲れたし・・・。