万里紗は、私が落ち着くまで抱きしめていてくれた。
「万里紗、もう大丈夫・・・」
「うん。ごめんね。見つけるの遅くなちゃって・・・」
「ううん。見つけてくれただけで嬉しいよ」
「今日は、帰ろうよ。愛美の家まで送ってくから」
教室に行きたくない気持ちを、聞かずともわかってくれる万里紗。
ありがとう。
ありがとう。
心のなかで何度もお礼を言った。
二人で、帰路を歩く。
ふたりきりで帰るのは、久しぶりだ。
今までは、五人で帰るか、亮祐と帰っていたから・・・。
亮祐のことを思い出して、また暗い気持ちになる。
「余計なことは考えない!!」
「えっ・・・?」
「辛いときに余計なこと考えたって、もっと辛くなるだけでしょ?そーいうことは、後で考えればいいの!」
「うん。
ありがとう、万里紗」
「何お礼なんて言っちゃってるの!?
ワタシは、対したことしてないし」
「ふふ」
素直に喜ばない万里紗は、私に気を使っているんだろう。
万里紗の優しさがすごくわかる。