「楓ちゃん、気にしないでリラックスして普通に飲んで」


桐生さん…耳元で囁かないで下さい。


写真だから声は入りませんから。


「クッククク…」


また笑い出したよ、この人。


私が睨むと


「ご、ごめん」


謝ってませんよ桐生さん。


桐生さんからカクテルに視線を移して…口に運ぶ。


…ほのかに甘く美味しい。


「このカクテルは何ですか?」


耳元で囁かれた恥ずかしさからバーテンダーさんに聞く。


別にいいよね、聞いたって。


「このカクテルは『スカーレットレディ』です」


『スカーレットレディ』


ドラマチックな名前ね。


「『風と共に去りぬ』のスカーレット·オハラから付いた名前ですよ」


「へぇ~スカーレット·オハラですか」


結構好きな小説なのよね。


「楓ちゃん、映画見たことある?」


「はい。ビビアン·リーが綺麗だったし、クラーク·ゲーブルが凄く素敵でした」


「へぇ~楓ちゃん、あんなのがタイプ?」


「別にタイプってわけじゃないけど」


『あんなの』って言ったよ、この人。


何だか上から目線ね~


やっぱり芸能人は自分が一番かっこいいとか思ってんのかしら?


もしかしてナルシストだったりして。