「楓ちゃん」


あっ!


「はい」


吉武さんの呼ぶ声で桐生さんとの間に流れていた空気が変わる。


……





いったい何だったんだろう?今のは。


「楓ちゃん、お酒は飲めたよね」


「は、はい。少しくらいなら」


「少し?」


「……」


吉武さん、意地悪です。


確かに少しよりはちょっと飲めます。


あの兄貴の妹ですから。


「ハハハ…剥れないの」


「剥れてません」


「ハハハ…じゃあ撮影始まるから」


「あ、はい」


これが最後の撮影ね。


頑張ろうっと。