「お~いカナ、笑いはいつ止まる?」
カメラマンさんが呆れたように。
「す、すみません。大丈夫です」
いや、まだ鼻がピクピクしています。
「じゃあ撮るぞ」
「はい」
「楓ちゃんもいいかい?」
「あ、はい。お願いします」
何故かカメラマンさんにも他のスタッフさんにも『楓ちゃん』と呼ばれている。
う~ん、やっぱり芸能界だわ。
と、変に感心していたら
「楓ちゃん、行くよ」
「は、はい」
感心してる場合じゃないわ。
確りしなきゃ。
再び桐生さんと寄り添うように歩き始める。
ちょっとは慣れ右手右足が同時に出ることはなく普通に歩けるように。
だんだんと日も暮れて空が茜色に染まり始めた。
このワンピースじゃちょっと寒い。