桐生さんの笑いが収まるまでの間にメイクをチェックしてもらい
「ピンヒール大丈夫?」
戸部さんが心配そうに
「あ、大丈夫です。すみません」
「ううん。慣れないのを履かせちゃったから」
「いえ、そんなことありませんから」
戸部さんに謝られるとこっちが恐縮しちゃう。
「こんな大人っぽい綺麗な恰好初めてだから…嬉しいです。もうこんな恰好なんて出来ないから」
「あら、これからいくらでも出来るわよ」
「うんと頑張ってこんな素敵なドレス着れるかも知れませんがヘアメイクは出来ないから」
このドレスならやはりメイクがちゃんと出来ないとね。
「まだ大学生でしょう。これからいくらだってメイク覚えられるわよ。よかったら教えてあげるし」
「えっ?本当ですか?」
プロの緒方さんに教えてもらえばちょっとはましになるかも。
「うん。山科さん元々可愛い顔立ちしてるんだからそんなにメイク濃くはしなくても大丈夫よ。ポイントさえ覚えとけば」
「はい」
「彼氏も喜ぶわよ」
「……」
彼氏…ねぇ。