「山科さん、カメラを見なくていいですから。カナの方を向いて下さい」


へっ?


そ、そんなことを言われても。


さっきのはアクシデントで…


何でこんなとこ撮んのよ!


「楓ちゃん、俺の顔が見れないならネクタイ辺りを見てればいいから」


上から声が降ってきた。


ネクタイですね、ネクタイ。


「はい」


カメラから視線を外して桐生さんのネクタイを見つめる。


あ、このネクタイ真っ黒じゃないんだ。


無地に見えてるけど細かい柄があるんだ。


やっぱり何処かの有名ブランドなんだろうな。


生憎ブランドなんて分からないけど。


このスーツだって当然ブランドよね~


生地が違うわ、兄貴のとは。