「楓ちゃん」


「へっ?」


あ、いけない。


思い出に更けちゃった。


「ククク…俺がコクってんのに心ここに在らずってか、もしかして俺の存在を忘れてる?こんな風に抱きしめてんのに」


「き、桐生さん」


そう言えばまだ後ろからガッチリとホールドされていた。


何だか居心地がいいと言うかこうされてるのが当たり前…って!


私、何を考えてんのよ。


「クッククク…ハハハ…」


遂に笑い出したよ桐生さん。


もう恥ずかしすぎる。


「桐生さん離して」


「イヤ!まだ全部話してない」


「に、逃げないから」


「駄目!こうしてると気持ちいいんだ。楓ちゃんの温もりが感じられて」


「……」


私…真っ赤だよ。


桐生さんに顔見られなくてよかった。