―都内某所。

「―っ。いい加減にしてよっ！もうこんなの嫌っ！」


今街中の人が振り返る程の声で怒鳴っているのはこの物語の主人公、芹沢美雨。


「だから誤解だって！俺にはお前しかいないんだよ。なぁ、美雨？家に帰ろう。」


そして怒鳴られているこの男は美雨の彼氏の村上崇弥。


「もういいって。うちら別れよう？じゃあね崇弥。」


どうやら彼氏ではなく元カレの様だ。


スッキリした顔をして颯爽と人込みの中を歩いて行く美雨に比べ、この世の終りの様な顔で立ち尽くす崇弥。

今、こうして一組のカップルが消滅した。