「どうしたんだよ」
「ごめん。悲しくなっちゃって」


客の視線がオレに集中する。


泣かしたの、オレじゃありませんよ、という顔をして、元気出せよ、とミチルの肩をポンポンと叩いた。


五分くらい経ってようやく泣きやみ、別人のような静かな口調で身の上話を始めた。


「うちのパパが悪い人に騙されたって話、さっきしたでしょ」


「ああ。ミチルのパパ、超一流のプロ野球選手なんだろ」