「ダメよ、それは」


「何がダメなんだよ」


「つらいのはわかるけど現実から目を背けちゃダメ。ユイちゃんが元気を取り戻す場合と、万一のことが起きた場合とでは、マモルの対応も変わってくるでしょ」


万一の場合を想像し、胸が締め付けられたような気持ちになる。


ミチルは西の空に浮かぶオレンジの物体を眺め、整った横顔を向けながら、諭すように言った。


「今のままで、ユイちゃんにもしものことがあったとき、アンタきっと後悔すると思うよ。ユイちゃんが元気なうちに、あんなことや、こんなことも、してあげておけばよかったって」


「それはそうかも」