生い茂った草木が作り上げる世界は暗く、陰鬱だった。


柄にもなくミチルは怖がり、体を密着させてくる。肩に触れる胸の膨らみが、鼓動を急がせた。


「マモル。さっきはごめんね」


突然囁かれ、面食らった。


「何だよ急に」


「マモルの全部の気持ちがユイちゃんに行くのが怖かったの。もしもマモルに『オレは病院に残る』って言われたら、ワタシ、こんなところに一人ぼっちでしょ? それだけは避けたかったの」


「わかるよ、その気持ち。オレだってこんな山奥に一人なんてヤだもん」