「イヤならワタシが膨らますからいいわ」


ビニールを引っ込める。


「いいよ。オレがやる」


奪い取ると、栓を開け、穴に口をつけて空気を送り込んだ。


クシャクシャだったビニールは、空気を与えられると、少しずつある形を成していった。


最初に胴体のようなものができ、そこから伸びたものが頭と足、尻尾になった。


そして最終的に「ワン」と叫んだ。