さっそく山に入り、道らしき斜面をのぼっていく。


草の臭気が鼻をつく。木立の中は九月とは思えないほど肌寒い。


木々の上では競うように鳥がさえずっていた。


ミチルは足を止め、バッグから出したウインドブレーカーを羽織った。


素材や形、どれをとってもオレたちが着るのと同じ、ごくありふれたものだった。


次にビニールの浮き輪を取り出した。


といっても、空気を入れて膨らます前のくしゃくしゃの状態だ。