新宿駅を通過すると、窓の外を流れるビルの高さが少しずつ低くなっていく。


やがてオレたちを乗せた快速列車が八王子駅のホームに引き寄せられた。


結局、オレとミチルは一言も口を聞かなかった。


八王子駅の周辺はそれなりの賑わいを見せるが、ロータリーでタクシーを拾い、三十分も走ると、同じ東京とは思えない景色が車窓に広がった。


チョウチンモモンガはともかくとして、野生動物がウジャウジャ生息しててもおかしくないほど自然が残っていた。


変化の乏しい景色をやりすごしていると、やがて山の入り口らしき細い道に差し掛かった。


運転手に停車を促し、ミチルがお金を払って順番に降りた。