「やっぱり無理だ」


アパートの畳に頭をこすりつけ、生まれて初めて女の前で本気泣きした。


向かいにはミチルが座ってる。


なめんじゃないわよ!と蹴飛ばされると思ったけど、ミチルは冷静さを保っていた。


「そんなこと今さら言われてもねぇ」


「わかってる。卑怯だってことは」


「言いたかないけど、ユイちゃんの治療には9億4324万3220円かかったからね。つけをためてるワタシの身にもなってよ」


「ごめん。泣き言いって」


顔を上げ、涙を拭いた。


「心配しないでくれ。オレ、ちゃんと未来に行くから。少しだけ泣き言を聞いてほしかっただけなんだ」