「あ、いや、
一回あんたと食堂で
ぶつかって、
メガネ拾ってやったこと
あったんだけど。」


俺がそう言うと、
その子は「ああっ‼」と
ぱああっと表情が明るくなった。


「あのときの人だったんですね。
私そのとき見えてなくて、
顔も覚えてなかったんです。
すみません。」


その子は申し訳なさそうに
頭を下げた。


…脚立の上で。