「ただいまぁ」
ちょうど、部屋から出ようとした矢先。
「波奈??」
玄関の扉が開く音と共に波奈の声がした。
「嗄綺~??居ないの~??」
あたしはゆっくりと階段を下りていった。
「あっ!!!!嗄綺!!!!」
あたしの姿を見た瞬間に波奈は顔を綻ばせた。
「早くない??帰ってくるの。」
「うんっ!!!!やっぱり嗄綺と一緒に出掛けたくなって!!!!」
「そっか。」
あたしはパーカーのフードを下ろした。
「あっ…………もしかして出掛けようとしてた??」
「いや、別に大丈夫だよ。」
「でも、出掛けようとしてたなら悪いよ…………。」
そう言いながらも波奈の表情はどこか暗い。
「本当に大丈夫だよ??今からクレープでも買いに行こうか。」
あたしはすぐにパーカーを脱いだ。
いつでも警察を撒けるようにあたしは下に私服を着ている。
「でもっ………。」
「波奈??遠慮は禁止でしょ??」
あたしは波奈の頭を少しだけ撫でると玄関に行き、靴をはいた。
「バイクで行こうか。運転してあげるよ。」
その言葉を聞くと波奈は急いで支度をして降りてきた。
「嗄綺っ!!!!早く行こうっ!!!!」
あたしより先に玄関を出てはしゃいでいる波奈の姿にあたしは苦笑いしかできなかった。