波奈side


「嗄綺、もうそろそろだけど来るかなぁ………。」


時計の針が差す時間はもうすぐ嗄綺との約束の時間になる。


あたしはいつもの癖でケータイを閉じては………開いて。


その繰り返しをしていた。


「また壊れちゃうよ。」


その声にビックリした。


今の声は…………見なくても分かる。


ずっと、どんな時でも側に居てくれた人だから。


「嗄綺!!!!」


だけど、振り返って見た嗄綺の姿にあたしはビックリした。


「さ………き??その格好は??」


「ん??あぁ………気にしなくて良いよ。」


嗄綺の姿は…………制服は所々が切れたり破れたりしている。


だけど、その姿はまるで『絵』のように儚いほど綺麗だった。


「なんでそんな恰好してるの!?!?」


「ちょっとだけね………。」


嗄綺はそれ以上は決して言おうとしない。


嗄綺は空をボーッと眺めている。


「ハァ。」


この時の嗄綺は絶対に口を開かない。


「溜め息なんて吐いてるとし「幸せが逃げる。」」


あたしは幾度も聞いてきた嗄綺の口癖に真似をした。


「もうそれは聞き飽きましたぁ。」


「だってそうじゃん。」


「まぁ、あながち間違いではないからね。」


あたしは嗄綺と同じように空を眺めた。


今日の空は清々しいほどに晴れていた。