「波奈、この教室に居てね??」


「嗄綺??」


「そんな泣き顔じゃ授業なんて受けれないでしょ。」


嗄綺はそっとその冷たい手であたしの瞼を包んだ。


嗄綺は冷え症で、身体が冷たい。


今、その体温はあたしにとって心を落ち着かせる良い温度だった。


「うんっ、ゴメン。」


「良いから待ってな。」


「嗄綺は??」


「最初の授業だけ受けてあとはここに来るよ。」


「そっか。」


「あっ、でも。最初って『数学』だよね。」


「うん、そうだよ??」


「じゃあ、最初の20分だけ受けてここに来る。」


「なんで??」


「数学が1番キライ。」


その顔はイヤそうだ。


嗄綺がこんな顔をするってことは相当、嫌いなんだろう。


嗄綺はあまり物事を嫌がったりはしない。


まぁ、理由は『メンドクサイ』なのと『極度の気分屋』だから。


いつもそんな感じで過ごしてる。