「おいおいっ、部外者が入ってくるんじゃねぇよ。」


「あんた、誰よ。」


「何しに来たんですかぁ。」


非難の声が嗄綺のぶつかる。


だけど、その声を浴びている嗄綺は至って涼しい顔をしている。


「この教室って自由に座ってんの??」


何故、嗄綺があたしに聞いてきたのか。


それはあたしの机が見当たらないから。


まぁ、見当たらなくて当たり前。


いつもあたしが他の空き教室から机や椅子を持ってきているから。


まぁ、要するにこのクラスにあたしの『居場所』なんてない。


「うぅん。あたし、嗄綺の分と一緒に机とか持ってくるね??」


あたしは一目散に教室から出た。


嗄綺にこんな姿を見られたことが恥ずかしかった。


早く、早く。この場所から消えてしまいたかった。


だけど、嗄綺が後ろから追いかけてきた。


「波奈、大丈夫だよ。」


「っう…………くっ………。」


「なんで泣くの??本当にゴメンね??気が付いてあげられなくて。」


嗄綺は泣きそうな切なそうな表情であたしに言った。


「嗄綺、そんな顔しないで…………。」


「辛かったね、淋しかったよね。」


嗄綺はあたしを抱き締めた。


何もかもが壊れた様にあたしは泣いた。


辛かった、淋しかった。


何度も『消えてしまえたら………』と考えた。


居場所を求めたけど、ダメだった。