あたしは嗄綺に言われたように、耳を塞いでただ祈った。


嗄綺があたしの所に帰ってきてくれることを…………。



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それから20分が経った。


頭を誰かにそっと撫でられた。


「嗄綺っ!!!!」


そこに居たのは、嗄綺じゃなくて…………。


「イヤっ!?!?」


あたしの知らない男の人だった。


だけど、あたしはその後ろに居る嗄綺の姿に安心した。


「嗄綺っ!!!!」


「波奈、その人はあたしの信頼してる人。大丈夫だよ。襲ってこないから。」


「嗄綺の信頼してる人??」


「そう、だからまず暴れないの。」


「………う…………ん………。」


「分かった。分かった。おいで。」


嗄綺はあたしに向かって両手を広げてくれた。


「嗄綺っ!!!!」


あたしは走って嗄綺の胸に飛び込んだ。


でも、すぐに嗄綺の身体を見てビックリした。


「嗄綺??」


「ん??」


「怪我してる。」


「あぁ、大丈夫。」


嗄綺の身体は真っ赤に染まっていた。


嗄綺の身体は少しだけ『血の匂い』がした。