嗄綺はゆっくりとあたしに近付いてきた…………。
「嗄綺!!!!助けてくれてありが『パシンッ』」
あたしの頬にまた鈍い痛みが走った。
「えっ……………。」
「……………けるな……………。」
「さ………き…………??」
「ふざけるなっ!?!?」
嗄綺は……………あたしのことを叩いたんだ。
ポロッ ポロッ ポロッ ポロッ
あたしの瞳から涙がポロポロと流れ落ちてきた。
痛かった…………苦しかった…………。
叩かれた頬よりもあたしは『心』の方が痛かった。
「泣けるじゃんか。笑うなよ。」
その言葉と共にあたしは嗄綺の香りがすると同時に何かに包まれた。
その温もりは酷くあたしの心に染みた。
あたしは……………初めて嗄綺の前で大声で泣いたんだ。