幸せな週末が終わり、また、一週間が始まった。
朝のラウンジで過ごす二人の時間は、日中、上司と部下の立場にいる二人にとって貴重な時間となっていた。
そこでの二人は後藤の自宅にいるかの様に密接な時を過ごす。
その時間は今日子にとって今まで経験したことのない穏やかな気持ちに慣れる一時だった。
後藤の口癖は、「癒してくれ」だった。今日子を抱きしめそう言った。
始業時刻になり、デスクに戻る。すると、同僚の後輩、佐々木に声を掛けられた。スポーツをしている佐々木は、今日子とは正反対に、浅黒い肌の色をしていた。
海が好きで毎週末、海に行っている。
佐々木は活発で、誰とでも臆することなく接することが出来る。今日子は羨ましいと思いつつも、自分には出来ないことだと思っていた。
「おはようございます」
「あ、おはようございます」
いつもの挨拶だけかと思ったら、佐々木が話しかけてきた。
「林さん、美容院に行ったんですか?とても似合っています」
ヘアスタイルを前から、後ろからと観察するように見る。
今日子がイメージチェンジをしてからの初出勤だ。
自分がどうみられるのか不安であったが、ここまでしてくれた植草、中島を裏切るようなことはしたくないと、いつものスタイルにしようと仕度をしたが、勇気を出してみたのだ。
「あ、ありがとうございます」
「メガネは? コンタクトにしたんですか?」
あまりの変身ぶりに、佐々木の質問攻めは止まらない。業務が開始しているが、今日子のデスクを離れない。
「……本当は、視力は良いんです。ただパソコンを長く使うのでかけていただけなんです」
今日子は、ヘアスタイルを変えたときから、メガネをかけるのを止めていた。
それを気にとめている人などいないと思っていた。だから佐々木の声掛けは、少し恥ずかしいが嬉しくもあった。
「そうだったんですか? どなたかいるのかと思いましたよ。あまりの変身ぶりに」
佐々木は今日子に男の影を感じ取った。にやけ顔で今日子に詰め寄る。
「かけたり、取ったりが面倒で」
嘘は上手につける。自分に関心を持たせない為だった。でも、今はこんな会話も楽しめるようになっている。
女性との会話が楽しい。植草や中島との会話も楽しかったが、年齢が近い佐々木とこうしておしゃべりが出来ることがうれしい。
朝のラウンジで過ごす二人の時間は、日中、上司と部下の立場にいる二人にとって貴重な時間となっていた。
そこでの二人は後藤の自宅にいるかの様に密接な時を過ごす。
その時間は今日子にとって今まで経験したことのない穏やかな気持ちに慣れる一時だった。
後藤の口癖は、「癒してくれ」だった。今日子を抱きしめそう言った。
始業時刻になり、デスクに戻る。すると、同僚の後輩、佐々木に声を掛けられた。スポーツをしている佐々木は、今日子とは正反対に、浅黒い肌の色をしていた。
海が好きで毎週末、海に行っている。
佐々木は活発で、誰とでも臆することなく接することが出来る。今日子は羨ましいと思いつつも、自分には出来ないことだと思っていた。
「おはようございます」
「あ、おはようございます」
いつもの挨拶だけかと思ったら、佐々木が話しかけてきた。
「林さん、美容院に行ったんですか?とても似合っています」
ヘアスタイルを前から、後ろからと観察するように見る。
今日子がイメージチェンジをしてからの初出勤だ。
自分がどうみられるのか不安であったが、ここまでしてくれた植草、中島を裏切るようなことはしたくないと、いつものスタイルにしようと仕度をしたが、勇気を出してみたのだ。
「あ、ありがとうございます」
「メガネは? コンタクトにしたんですか?」
あまりの変身ぶりに、佐々木の質問攻めは止まらない。業務が開始しているが、今日子のデスクを離れない。
「……本当は、視力は良いんです。ただパソコンを長く使うのでかけていただけなんです」
今日子は、ヘアスタイルを変えたときから、メガネをかけるのを止めていた。
それを気にとめている人などいないと思っていた。だから佐々木の声掛けは、少し恥ずかしいが嬉しくもあった。
「そうだったんですか? どなたかいるのかと思いましたよ。あまりの変身ぶりに」
佐々木は今日子に男の影を感じ取った。にやけ顔で今日子に詰め寄る。
「かけたり、取ったりが面倒で」
嘘は上手につける。自分に関心を持たせない為だった。でも、今はこんな会話も楽しめるようになっている。
女性との会話が楽しい。植草や中島との会話も楽しかったが、年齢が近い佐々木とこうしておしゃべりが出来ることがうれしい。