「今日子これなんかどおだ?」
今日子の羞恥など関係ないといったふうで、後藤は今日子以外の周りが見えていない。ここが人の沢山いるデパートだと言うことも忘れているようだ。
そんな後藤が手に持ったのは丈の短いネグリジェだ。
「だ、だ、だめ!」
「じゃ、これは?」
次に選んだのは丈が長くなっただけのネグリジェだ。先にえらんだのとなんら変わらない。どうやら、それが後藤の趣味の様だ。
男性が女性のネグリジェを持って下げている姿も今日子にとっては恥ずかしいことなのに、後藤は全く気にしていない。
「そ、それもだめ!」
「じゃあどれがいいんだ?」
「長袖、長ズボン」
「それはダメ」
「な、な、なんで、ですか」
「ん?それは、そのうちわかるよ。……今日子この二つの内のどっちか選んで」
「部長、困ります」
本当に恥ずかしい。
「だめ、さあ、どっち?」
後藤に押され仕方なく、ロング丈を選んだ。
もうそれは恥ずかしいデザインだ。レースがひらひらとついていてパフスリーブのピンクのネグリジェだ。次に後藤は自分のパジャマを選びに行く。男だからごく普通のパジャマを考えることなく選びレジに行く。それもすべて後藤の支払いだ。
会計を済ませると丁度、昼食の時間になっていた。
「お腹空かないか?」
「そうですね、ちょっと空きました」
「どこかに入ってメシを食おう」
「はい。……ちょっとおトイレに行ってきてもいいですか?」
「ああ、此処で待ってる」
今日子は、トイレを済ませると、パウダールームで軽く髪をとかし、化粧を直す。
すると隣に20代とみられる女性が、今日子の隣に二人並んだ。自然と会話が聞こえる。
「ね、外にいた男の人、めっちゃ格好いいと思わない? スタイルも抜群、ナイスミドル?」
「えー格好いいけどナイスミドルの歳じゃないよ」
「奥さんか彼女いるよねー? いい男には必ず綺麗な女がいるんだもんなあ」
「そうなんだよね。あー、あんな彼氏ほしいなー」
その会話を聞きながら、鏡を見る。そこにいたのは醜い顔の女だった。今日子が我に返った瞬間だ。浮かれていた自分が恥ずかしい。
急いで化粧ポーチに道具をしまい、トイレを出る。待っていた後藤に駆け寄った。
「お待たせしました。直ぐにここを離れましょう」
「え? う、うん」
今日子が後藤の腕を掴んで、歩き出す。
「……」
「何が食べたい?」
「……」
「今日子? どうした?」
後藤の問いかけにも答えない今日子の様子がおかしいと察し、後藤は足を止めて聞いた。
「あ、あの。連れて行ってくれたレストランに行きませんか?」
そこなら一度顔を見られているからあまり気にしなくてもいいと思った。下をむいたまま、今日子は答えた。
「いいけど、ここから電車で移動だぞ? 腹は大丈夫か?」
「はい。早く行きましょう」
今日子の羞恥など関係ないといったふうで、後藤は今日子以外の周りが見えていない。ここが人の沢山いるデパートだと言うことも忘れているようだ。
そんな後藤が手に持ったのは丈の短いネグリジェだ。
「だ、だ、だめ!」
「じゃ、これは?」
次に選んだのは丈が長くなっただけのネグリジェだ。先にえらんだのとなんら変わらない。どうやら、それが後藤の趣味の様だ。
男性が女性のネグリジェを持って下げている姿も今日子にとっては恥ずかしいことなのに、後藤は全く気にしていない。
「そ、それもだめ!」
「じゃあどれがいいんだ?」
「長袖、長ズボン」
「それはダメ」
「な、な、なんで、ですか」
「ん?それは、そのうちわかるよ。……今日子この二つの内のどっちか選んで」
「部長、困ります」
本当に恥ずかしい。
「だめ、さあ、どっち?」
後藤に押され仕方なく、ロング丈を選んだ。
もうそれは恥ずかしいデザインだ。レースがひらひらとついていてパフスリーブのピンクのネグリジェだ。次に後藤は自分のパジャマを選びに行く。男だからごく普通のパジャマを考えることなく選びレジに行く。それもすべて後藤の支払いだ。
会計を済ませると丁度、昼食の時間になっていた。
「お腹空かないか?」
「そうですね、ちょっと空きました」
「どこかに入ってメシを食おう」
「はい。……ちょっとおトイレに行ってきてもいいですか?」
「ああ、此処で待ってる」
今日子は、トイレを済ませると、パウダールームで軽く髪をとかし、化粧を直す。
すると隣に20代とみられる女性が、今日子の隣に二人並んだ。自然と会話が聞こえる。
「ね、外にいた男の人、めっちゃ格好いいと思わない? スタイルも抜群、ナイスミドル?」
「えー格好いいけどナイスミドルの歳じゃないよ」
「奥さんか彼女いるよねー? いい男には必ず綺麗な女がいるんだもんなあ」
「そうなんだよね。あー、あんな彼氏ほしいなー」
その会話を聞きながら、鏡を見る。そこにいたのは醜い顔の女だった。今日子が我に返った瞬間だ。浮かれていた自分が恥ずかしい。
急いで化粧ポーチに道具をしまい、トイレを出る。待っていた後藤に駆け寄った。
「お待たせしました。直ぐにここを離れましょう」
「え? う、うん」
今日子が後藤の腕を掴んで、歩き出す。
「……」
「何が食べたい?」
「……」
「今日子? どうした?」
後藤の問いかけにも答えない今日子の様子がおかしいと察し、後藤は足を止めて聞いた。
「あ、あの。連れて行ってくれたレストランに行きませんか?」
そこなら一度顔を見られているからあまり気にしなくてもいいと思った。下をむいたまま、今日子は答えた。
「いいけど、ここから電車で移動だぞ? 腹は大丈夫か?」
「はい。早く行きましょう」