初めてのキスをしたばかりなのにもうすでに何回キスをしたの? 今日子は恥ずかしくて顔が赤くなる。外では止めてほしいと思った。
テーブルにちぐはぐな器に盛りつけられた食事を置く。二人そろって席につき、食事を始めた。

「美味しい。すごくおいしいよ」
「そ、そうですか? ありがとうございます」

食事は至って簡単な肉の煮込みだ。
調味料もそろっていない後藤のキッチンでは、手の込んだ料理は出来ず、簡単なものとなってしまっているのだ。

「俺、本当は野菜嫌いなんだ。つい見栄を張って嫌いなものなんかないなんていったけど。でも今日子の料理は食べられる。凄いな今日子の腕は」
「これからはずっと野菜だけの料理をします」
「いや、他の食材のほうが嬉しいかな? 肉とか、肉とか、肉ね」
「魚と野菜の料理にします。絶対に肉料理はしません」
「今日子、意外と厳しいんだね」
「だって、もういい年齢なんですよ? 身体に気を付けないと」
「植草にもいいおっさんなんだから。って言われたよ」

かなり気にしているようだ。
見る見る不機嫌になって行く。

「い、いや、あの部長。部長はあのその辺の38歳よりも断然若いです。もうダントツです。機嫌を直してくださいね?」
「今日子がキスしてくれたら考えてもいい」