結局、事業部の大所帯を急に受け入れてくれるのは、いつも利用している居酒屋だった。今日子は居酒屋に着くと、直ぐに帰れて、周りに気づかれないようにする為に端の席を探し座る。いつものことである。1時間くらいすれば場も盛り上がり一人くらい帰っても気づかれまい。今日子の頭の中は、帰るためにどのように行動するかで一杯だ。
下っ端の社員は、 それぞれの前に置いてあるビールグラスに冷えたビールを注ぐ。全員に渡りきったところで乾杯をする。
「それでは、後藤部長のご帰還と我が部署の益々の発展を祈って、かんぱーい!!」
この音頭もやはり新入社員が取った。一斉に乾杯と声があがり、グラスを傾ける。グラスのぶつかる音が、そこかしこから聞こえる。コンサート会場の様に、声が反響して、参加人数以上いるように感じる。
両隣で盛り上がって会話をしている端で今日子は時間を気にしながら、灰皿の交換や、追加の飲みものを注文したりしていた。
後藤はやはり女子社員に囲まれ、酌を受けていた。後藤は、厳しいが仕事が出来て、部下からも慕われる人望厚い男だ。
女子社員だけじゃなく、男性社員にも同じように囲まれていた。
そろそろ、帰ってしまってもいい頃だろう。皆も盛り上がっている。いつも以上に今日子のことを気に掛ける者もいない。会費はすでに払い済だから、このまま帰ればいい。周りを見て、帰ることを見られないような経路を探す。椅子に掛けてあるバッグを手に取り帰り席をそっと外そうとしたとき、手を掴み席に座らされた。
下っ端の社員は、 それぞれの前に置いてあるビールグラスに冷えたビールを注ぐ。全員に渡りきったところで乾杯をする。
「それでは、後藤部長のご帰還と我が部署の益々の発展を祈って、かんぱーい!!」
この音頭もやはり新入社員が取った。一斉に乾杯と声があがり、グラスを傾ける。グラスのぶつかる音が、そこかしこから聞こえる。コンサート会場の様に、声が反響して、参加人数以上いるように感じる。
両隣で盛り上がって会話をしている端で今日子は時間を気にしながら、灰皿の交換や、追加の飲みものを注文したりしていた。
後藤はやはり女子社員に囲まれ、酌を受けていた。後藤は、厳しいが仕事が出来て、部下からも慕われる人望厚い男だ。
女子社員だけじゃなく、男性社員にも同じように囲まれていた。
そろそろ、帰ってしまってもいい頃だろう。皆も盛り上がっている。いつも以上に今日子のことを気に掛ける者もいない。会費はすでに払い済だから、このまま帰ればいい。周りを見て、帰ることを見られないような経路を探す。椅子に掛けてあるバッグを手に取り帰り席をそっと外そうとしたとき、手を掴み席に座らされた。