「…解約、するしかないね」
「…だよね」


男のデートの誘いに、無理です!と即答するとほぼ同時に電話を切り、そのまま陽菜へコールバックし、事の顛末を全て話した。

「あーもうほんと嫌だあー!なんでこうなるの?買ったばっかなのに!高かったのにー!!」
「彩乃。自業自得」
「ひどいー!」
「だってそうじゃん。落とすのがそもそも悪いんだから」
「そうだけどぉー…」
「まあ拾ってもらえてただけちょっと惜しいよね。落としてそのまま見つからないならまだ諦めつくけどさ」
「そう、それ!!」
「でも、相手が悪かったね。運があるんだかないんだか」
「ほんとだよね…」

思い返せば、小さいときからずっとそうだった。

幼稚園のお遊戯会で、主役に抜擢されたのに、当日風邪をひいた。
小学校のとき、バレンタインデーに好きな男の子にチョコをあげて、両想いだとわかったのにその直後に彼は転校した。
中学のときバレー部で、補欠からようやくレギュラーになれたのに、試合直前に怪我をして結局出場できなかった。