高校生になり、彼からの告白を受け、晴れて付き合うことになった。
両想いになれば今度は、一緒にいられる幸せだとか、初めてのカレシとかカノジョとかいう甘ったるい言葉の響きに煽られるようにして、気持ちはますます加速
度を増した。

際限なく、膨らみ続けていくんだな、恋って。
楽しいな、幸せだな。
時々、ちょっと苦しいときもあるけど、でもやっぱり、恋っていいな。


あのとき、あたしはそう思っていたのに
、彼のほうは違っていた。

もう、同じ過ちは繰り返したくない。

元カレに未練があるとかではなくて、あたしは、誰かを好きになるということに対して、前向きになれずにいる。

あれ以来ずっと。


終わりが怖い、裏切りが怖い、
というのもあるけど、それよりも
誰かを好きになったときの、自分の変化が、あたしは怖い。


あぁ、ヤバイ。

なにか、他のことをしよう。
やっぱり、お風呂に入ろう。

クローゼットの引き出しから、新しい下
着を出していると、机の上で携帯が震えた。

あんまりすぐ出ちゃダメ。

あたしは言い聞かせながら、通話ボタンは押さずに携帯を手に取る。

液晶には、予想通りの名前が表示されている。

5回バイブが鳴るのを確認してから、あたしは一度だけ深呼吸をして、通話ボタンを押した。