あぁ、やっぱり、ヤバイな。
ふぅ、と、もう一度、さっきよりも小さくため息をついた。
本当は、気付いている。
この感情の正体に。
でも、それを認めることはしない。
だってそれは、そうと認めた瞬間に、熱を増して、勢力を増して、自分でコントロールできなくなるほどに強力で巨大なものになるって、あたしは知っている。
今はまだ、コントロールができるから。
今ならまだ、間に合うから。
認めたりしない、絶対に。
アイツのときが、そうだった。
高校生のときに付き合った、あたしにとって今のところ人生唯一の「元カレ」。
誰にも知られることなく、密かに想っているだけで満足だったのに、共通で仲が良かった陽菜には速攻でバレた。
人に指摘されたことで、更に気持ちは加速して、日に日に自分の中で、想いが確固たるものに変わっていった。
冷やかし、恋バナ、噂話。
中学生の日常なんて、芽生えたばかりの恋心を刺激する要素に溢れている。