それを機に、俺たちは一緒に暮らし始めた。
犬が欲しいと言うミナミのため、ペット可の物件を探した。
同棲を始めて最初に迎えたミナミの誕生日にプレゼントしたのが、ショコラだった。


「なに、考えてるの?拓真」
「…別に」

ふいに携帯の振動がデニムの生地越しに俺の太ももを刺激した。
それを合図にして、俺は立ち上がり、ショコラのリードを引いた。

「どうしたの?」
「帰る。ショコラにも会わせたし、もういいだろ」
「…冷たいね」

携帯はまだ見ていないけど、休日に俺の携帯を鳴らすのは翔太か彩乃くらいだ。
そして翔太の場合は電話での連絡しか寄越さないから、一回だけ鳴ったバイブはつまり、彩乃からのメールだということがわかっていた。

「また、ショコラに会わせてくれるよね?」