器用に外された背中のホック。
あとはただ置かれているだけとなった、買ったばかりの淡いピンクのブラジャーをあたしは押さえた。

「…やだ」
「なにが?」
「あたしばっか、嫌だ…拓真くんも…」

脱いで。
とは言えずに見上げると、彼はそれを汲み取ってくれた。
初めて目にする、露わになった胸板や腹筋に、ドキドキしてしまう。
服を着てるときは細身なのに、思っていたよりも筋肉質な上半身に見入っているあたしに気付くと彼は言った。

「そんな見ないでよ。恥ずかしいじゃん」
「…ごめん」
「今度は、彩乃ちゃんの番でしょ?」

そう言うと彼は、あたしの腕を掴んで胸元からおろすと、ブラジャーを剥ぎ取った。
なおも隠そうと動かしたあたしの腕を、彼はベッドに押さえ付ける。

「…恥ずかしい、ん、だけど…」
「これで恥ずかしがってちゃ、先進めないんだけど?」

顔から火が出そうに熱くて、心臓はさっきからずっと、速度を緩めることなく脈を打ち続けている。
このまま先へ進んだら、心臓がもたないんじゃないかと思ってしまうほど。

「…でも…その、ごめん…」
「え?」
「あたし…ちっちゃいし…」
「そんなん、どうでもいいよ。っていうか…」
「え…?」
「…もう、喋んな」

切羽詰まったような表情でそう言うと、彼は強引なキスでまたあたしの唇を塞いだ。
と、同時に脇腹を這うようにして、左胸に添えられた右手がその先端に触れる。



「…あ、」