店長さんは鏡越しにあたしを見つめる。


そしてあたしの長く束ねた髪を解く。


そっとそっとあたしの髪に、ブラシを通すその細い指には、


キラキラ光るくすり指の指輪。


そう・・・・・店長さんは結婚してるんだ。


それでも好きで、会いたくなって、


あたしは毎月ここへやって来る。


あなたに会いたくて。


ただそれだけで、それだけの想いで。


「毛先をそろえるくらいでいいのかな?」


耳元でそうつぶやくようにあたしに聞く、


店長さんの声に今日もこうしてドキドキする。