「先生…」
いつもとかわりない屋上を一人の男が彩る。
私は胸の奥深くから込み上げる怒りを必死に抑える。
「かー君、どういうこと?」
「いいから…聞いてて。」
かー君はまっすぐ先生を見つめる。
それにつられて先生も。
「俺は神山明衣香を傷つけた!アイツの全てを俺がなくした。でも好きでいたい!愛してるから!」
私は抑えていた怒りが限界に達した。
「だから何?」
「神山…」
「先生なのに、謝ることも知らないんですか?傷つけたって分かってるのに好きでいたい?ずいぶん勝手ですね。」
「………」
「明衣香ちゃん!」
「愛してるから?聞き飽きました。違うことしてるのは先生。大人なことしてるのも先生。全部先生がしてることですよね?」
「違……」
「違わないでしょ!」
あのときと同じ会話。
「篠上さんの方が、先生を愛してくれますよ。」
私はそれだけを言い残して屋上を後にした。
教室に恐怖が待っているとも知らずに、、、