がたんごとんと小さく揺れるおんぼろ電車。
青々とした空に真っ黒な雲。そのうき具合があたしみたいだ。
電車に揺られたった5分。電車から降りると運悪く雨が降りだした。
最初はポツポツ降っていたのに、次第には本降りになっていた。
仕方なくあたしは木の下まではしった。
着く頃にはびしょびしょで、服を絞りながら雨宿りを始めた。
昔から雨はわりとスキだった。
汚自分の心を洗いながしてくれそうで…

ふと視線を感じ横に目をやると、雨宿りをしていた奴はもう1人いた。
目があってしまいどうすることも出来ずにいると、奴はかるく会釈してきた。
見知らぬ人なのに…律儀な奴。
シカトするのもアレだからあたしも会釈した。
沈黙の中、ただ時間だけが過ぎていった。

どれくらい時間がたったのだろう。
雨は止む気配が一向にない。
「雨そろそろ止むな。」
「…?!」
そいつは空を見上げてつぶやいた。
バカにも程があるぞ…これの一体どこが止みそうなんだ!!
あたしの思いが顔に出ていたらしく、そいつはイタズラっぽく微笑んで「まぁ見てな」と空を指差した。
「全然止みそうに… !
あんなに降っていた雨は急に止み、虹を空いっぱいに架けた。
「っな!俺の天気予報に狂いはない!!」
得意気に笑うとそいつは走って帰っていった。
なんなんだあいつは…!