「あ!お前何笑ってんだよぉ!」
先生がちょっとスネた顔で私を見る。
かわいい、なんて思っちゃってる私。
「で、サボった理由は?」
憎めない笑顔で、私に問い直す先生。
私は口を尖らせて、下を向く。
「先生が怖いから……」
私がそう口にした途端、先生は大きな声で笑い出した。
突然の大声にびっくりして、またもや硬直する私。
笑い声は初めて。
「俺ぇ!?別に怖くねぇよ!まぁ怒る時は怒るけどな!」
怖いよ。
先生の言葉に、心の中で反論する。
「部活のときとか怖いもん!」
私は少しずつ、本音を口にする。
先生はまた笑い出す。
「だってサッカーん時は別人だもん!授業は優しいから来いよ!」
その先生の言葉にすごく笑えた。
なんてフレンドリーな先生なんだろう。
長年の先生の印象が、がらりと変わる。
先生を慕う卒業生たちの気持ちが、少しだけ分かったような気がした。