大好きだった、先生の授業。

でも、最近はただの苦痛な時間になってしまった。


そして、もっと好きだった、先生に会える昼休み。

愛梨の告白を聞いて以来、昼休みも会いに行かなくなった。


先生はそんな私を心配して、いつも声をかけてくれた。

私は、そんな先生の優しさを受け入れることも出来ず、ただ『大丈夫』を繰り返した。


きっと今の私は、先生から見たらかわいくない生徒。

先生の一番になんか、当然なれっこない。



一方で愛梨は、誰が見ても先生と仲が良かった。


愛梨は、昼休みも先生に会いに行っている。

その報告を聞くのが辛かった。


愛梨を見ていると、なんだか前の私みたい。

だから、すごく愛梨の気持ちが分かる。


先生は私なんか行かなくても、愛梨がいるから寂しくなんかないよね。

と言うか、寂しいなんて思うはずない。


先生にとって、私も愛梨もみんな同じ生徒でしかない。

特別な感情は持ってくれない。



早く席替えをしたい。

早く、目の前のこの光景を見なくてもいい場所に逃げたい。


私は、いつも極力その光景を見ないように目線を下に落とす。

そのとき目に入るのは、先生からもらった、ペンケースの中の赤ペンだった。


私の唯一の支え。



だったのに……