愛梨と別れた後、少し遠回りして、グラウンドを通って帰った。
遠くからでもいい。
話せなくてもいい。
先生の姿を見たかった。
先生に会いたかった。
愛梨の気持ちを知ってしまった私はもう、前のように先生に会いに行けない。
前のように仲良くすることも、きっとできない。
逆に、先生を好きな子に協力しなきゃいけないんだ。
先生が私以外の子と仲良くするのを見なきゃいけないんだ。
本当はそんなことしたくないし、見たくもない。
でも、目をつぶることはできない。
先生はグラウンドの隅に立って腕を組み、練習する生徒たちを真剣な眼差しで見ていた。
私は、そのすぐ後ろをゆっくりと歩いた。
先生の後ろ姿を目に焼き付ける。
そのときだった。
先生がいきなり振り返った。
「よ!」
先生は、エスパー?
授業のときとは、まるで別人の部活モードの先生。
私が手を振っても全く気づかないくらい、集中している部活モードの先生が、黙って立っていた私に気付くなんて……。