「桜。あいつ、帰ったから。大丈夫か?立てるか?」


先生が、私の肩を抱いて、私の体を支えてくれた。

この腕に頼っていいのかも、困惑する。


「大丈夫だよ。先生、仕事やんなきゃ。コーヒー入れるね!」


割れたマグカップの破片を片付けようとして拾い集めたら、破片が指に刺さった。

それを見た先生はしゃがみ、私の指先を舐めた。


「バカ。俺がやるから座ってろ。」


私は先生の言われた通りにソファに座り、マグカップの破片を片付ける先生を見つめていた。


未だに先生を見るだけで、ときめく胸。

こんなんで、今先生を失ったらどうなってしまうだろう。


とてつもない胸の苦しみを抑え、考えた。



先生の幸せを願うなら…。