その日の夜は、久しぶりにくるみと長電話をした。


自分でもよく分からない胸のザワザワを、くるみにぶつけた。



「先生ね、奥さんと子供がいるんだって!」



だんだん胸のザワザワがチクチクとした痛みに変わる。


最初は、そんな胸の痛みにも気付かず、また空元気を振りまいていた。



『本当は辛いんでしょ?私には無理しなくていいんだよ』



くるみのその優しい言葉に、涙が溢れ出た。


私はその涙で、先生のことをどれだけ好きになってしまっているのかを知った。



私の好きになった人は、先生。


奥さんも子供もいる。



でも、だからと言ってこの想いは止められない。


逆に加速する一方。



この恋を叶えようとは思わない。


ただ、せめて先生の“特別な生徒”でいたい。



私は、窓の外の星にそっと誓った。