私は先生の方に向き直って、先生の背中に手を回した。
「ごめんね、先生。ごめん。大丈夫だよ、私は絶対どこにも行かないから…。こんなにすきなんだもん。先生の奥さんになって、ずっと一緒にいるから…。」
見上げた先生の顔は、すごく寂しそうだった。
初めて見た、先生の弱さ。
私が守らなきゃって、そう思った。
「ごめんな。情けねぇな、俺。」
先生はそう言って、笑った。
すぐ無理するんだ、先生。
昔から変わってない。
風邪引いたときも、いつもそうだったね。
どうすれば伝わる?
大丈夫だよって、どうすれば先生を安心させられる?
言葉にできない。
言葉が邪魔。
私は、ただ先生を強く抱きしめることしか出来なかった。