広い一軒家。

先生1人には、きっと広すぎる。

寂しかっただろうな…。


家の中に、奥さんや子供の物らしい物はなかった。

きっと奥さんが荷物を持って行ったのだろうけど、先生も私のために片付けてくれたんだろうな…。

先生は、何も言わないけど。


「先生、疲れてるでしょ?寝よ?」

「…誘ってんの?」


上目遣いで、私に問う先生。

かわいい!!


「先生のエッチ!ばかぁ~!」


私は先生の背中を叩いた。


そのまま2人でベッドに横になった。

すぐに目がとろんとしてきたけれど、なんだかとても胸が苦しくなった。


広いダブルベッド。

ここに、奥さんと先生で寝たのかな。

ここで、ひとつになったりしたのかな。


無理だよ。

そんなの耐えられない…。


布団の中でうずくまって、静かに泣いていたら、寝ていると思っていた先生が私をやさしく抱きしめた。


「やっぱ、辛いよな?ごめんごめん。桜が頑張ってんの、ちゃんと分かってる。でも、ここはもう俺と桜の家だから。余計なこと考えんな。」


先生の腕にしがみついた。

先生は、私の不安をすべて受け止めてくれた。


私は先生の温もりに安心し、いつの間にか先生と眠っていた。